改正が予定されている労働者派遣法についてはいわゆる「3年問題」がありますが、この内容を十分に理解する必要があります。ポイントをまとめると以下のようになるのでしょう。
(1)「個人単位」の3年の派遣期間の制限について
3年は、組織単位毎であるが、組織単位とは、「課」単位が想定されているものと思われます。具体的には今後厚生労働省令で定められる予定です。従って、現段階においては、どのレベルで組織単位が定められるかは不明ではありますが、少なくとも、現行法の「同一の業務」(現行労働者派遣法第40条の2第3項)にて想定されている「係」よりも広まるものと推測されます。なお、「課」であることを前提とすれば、「課」を異動すれば同一人を労働者派遣として引き続き活用可能です。ただし、その後に元の課に戻すことが可能なのか(そのためのいわゆる「クーリング期間」的なものがあるのか)については、現在のところ定められていません。そのまま受け取れば、戻すことは不可なのでしょうが、実務としては確認しておかなければならない事項でしょう。
<派遣契約→請負契約→派遣契約の場合の本期間制限の解釈>
派遣契約→請負契約→派遣契約の繰り返しについては、
労働者派遣法の趣旨に照らした場合、
必ずしも適切な対応とはいえない(労働局等の「助言」
を受ける可能性あり)という前提があります。この点は、
いわゆる2009年問題の際にも話題にはなりました。
しかしながら、実務的にこのような対応になった場合、(後の)
派遣契約の本期間制限がどうなるのか、という疑問が生じます。
上記のように、
労働者派遣法の趣旨からして適切でないという前提があるため、
厚生労働省令等で直接的に定められない可能性がありますが、「
クーリング期間」的なものが定められるかどうかも含め、
今後確認をしておく必要はあるでしょう。
(2)「事業所単位」の3年の派遣期間の制限について
事業所単位の期間制限の起算日については、当該事業所において「労働者派遣の役務の提供」が開始された時点(改正法施行時点において、労働者派遣の役務提供がされているとすれば、その日より3年と解釈)となると思われます。実務的には、派遣会社に觝触日通知をすることになるでしょう。
しかしながら、本期間制限については、3年ごとに、過半数労組がある場合は当該労組、ないときは過半数代表者に対して延長理由の説明、意見聴取をすればクリアできることになりますから、影響は軽微であると思われます。もちろん説明・手続きをきちんとしなければならないということはいうまでもありません。
(3)(1)(2)とも、派遣元にて無期雇用契約の派遣社員については適用になりません。したがって、派遣先としては、派遣元に対して無期雇用を求める、または、派遣先が直接雇用をする等、雇用の安定のための措置を施すことは当然ながら重要なのでしょう。
(4)2015年10月1日から施行される、「労働契約申込みみなし制度」の適用にも注意が必要です。上記「3年問題」に違反した場合は、同制度の適用になります。