2014/06/11

給与の控除項目を利用した「マイナス控除」はうまく使えば便利

 給与明細の「控除項目」はどのように使うのでしょうか。社宅費用や会社で加入している生命保険、損害保険料の控除に使うというというのがごくごく当たり前でしょう。

 しかしながら、控除項目にマイナス金額を入れるとどうなるのでしょうか。マイナスの控除なので、転じてプラスになります。振込額にプラスになります。

 しかも、これらは社会保険料や税の算定基礎金額には入りません。ですから、実費弁償的なもの(出張の旅費精算や、業務使用のガソリン代)の精算に使えます。これらを現金で渡したり、別に振り込んだりするわけですが、手間がかかったり、別に振込手数料がかかったりします。

 さらに、これらを支給項目毎に分ければ、経理の仕訳を起こす時にもそのまま使えるので利便性が高いわけです。是非検討してみたらいかがでしょうか。

 なお、あくまで「実費弁償的なもの」だけですから、税や社会保険の対象となっているものに使用してしまっては脱法行為ですので、対象となる項目がどうなのかということはしっかりと吟味する必要があります。

2014/06/02

給与の締め日から支給日まで時間がない場合の処理

 給与の計算事務に十分な時間がとれないときがないでしょうか。

 事例として、月末で勤怠を締めて、時間外手当等も含めて翌月5日に支払う場合、通常は問題なくとも、その年その月のカレンダーのいたずらで計算・支給が難しい場合があります。

 その場合には、一旦一定額(一番分かりやすいのは前月における振込額と同額)を振込むということです。
 この場合、ポイントとなるのが、「計算自体は通常通り」ということです。つまり、振込額と同額は振り込むものの、後日、計算自体は通常通り行い、本来の振込額との差額を「控除項目」に入力し、実際に振り込んだ額に合わせます。こうすることによって、当月の社会保険料や所得税の金額は通常と同じになります。

 そして、差額は翌月の給与で調整します。具体的には、当月給与で控除項目に入力した金額のマイナスの金額を入力すれば良いわけです。

 留意点としては、当月、本来もらうべきの金額よりも少なくなってしまう方がいる可能性があります。つまり、例えば、前月の時間外労働が少なく、当月の時間外労働が多くなってしまった方です。もちろん、翌月の給与で最終的に調整すれば合うわけですが、資金繰りという点では従業員に迷惑をかけてしまうことになることもあるでしょう。逆に、本体もらうべき金額よりも多くなってしまう方は、それ自体は問題ないと思いますが、翌月はしっかり差額精算されてしまいますから、「使い込みをしないように」注意喚起しておくのも必要かも知れません。

 このやり方について、労基署が問題視しないのか、というと、おそらく「労使でしっかり話し合いをしてください。」ということなのでしょう。従って、もし勤務カレンダーのいたずらが原因であれば、相当早い段階で起こりうる可能性が想定されるわけですから、早めに従業員側に情報提供をする必要があるのでしょう。