2015/05/29

自宅でのトラブル対応は労働時間とすべきか

 帰宅後、あるいは休日に、自宅に会社からトラブルで電話がかかったきた場合の対応した場合の労働時間をどうするか。結論から言えば「労働時間とすべき」なのでしょう。

 それは、以下の理由からです。
 ・明らかに「労働」したものであるから
 ・上長の指揮命令下にないとはいえないから(勝手にやった、と言えますか?)

 少し分かりにくいのですが、当該トラブル対応が、仮に「上長が見える状態での指揮命令下にあったと認定することができるとすると、労働時間と認めるかと思います。たまたま上長が「見えない状況であっただけをもって、「労働時間として認めないというのは違和感があります。

 では、どのように捕捉するかといえば、なかなか難しいところですが、本人の報告書などによるレポート申告が基本かとも思います。さらに、携帯電話の履歴、リモートのパソコンの履歴があればエビデンスとして添付させるとか。

 一方で、究極的には、会社としては、自宅でのトラブル対応をしなければならない状態にしないことが大切なのでしょう。頻繁に生じるようであれば、きちんと取扱いを整理し、必要であれば手当の支給等も検討しておく必要があろうかと思います。

2015/05/20

ストレスチェック制度が定められた背景

 2015年12月1日より、労働安全衛生法が改正になり、企業は従業員に対して、1年に1回、「ストレスチェック」を実施する必要があります。

 この背景を見ると、下のグラフにあるように、精神障害に係る労災請求・決定件数が徐々に増えており、平成26年度の申請件数は過去最高の1456件にのぼっています。このような状況を放っておくわけにもいかず、今回のような制度がスタートしたのでしょう。

 しかし、通常の負傷等とは異なり、外から見ただけではなかなか分かりにくいのは事実。まずは、ストレスチェックの結果は原則として会社には告知されないスタイルでのスタートとなります。あくまで、従業員の「気づき」を大切にしているわけですね。

2015/05/08

定年後、5年を超えて再雇用する可能性がある場合にはきちんと手続きを

 2013年4月に施行された「改正労働契約法」では、「無期雇用転換ルール」が導入されました。すなわち、ある労働者が、同一の使用者間で有期労働契約が通算5年を超えて反復更新された場合、労働者本人が申し出ることによって、有期労働契約が終了する翌日
から自動的に無期契約へと転換される制度(5年ルール)のことです。この有期契約労働の通算の始期は、改正同法の施行日である2013年4月1日以降に締結・更新される有期労働契約からとされているため、実務上、実際に有期契約労働者から無期転換への請求が生じる可能性があるのは、2018年4 月1 日以降となります。

 一方で、この「無期雇用転換ルール」の特例として、2015年4月に「有期雇用特別措置法」が施行されています。これについて、定年後引き続いて雇用される定年継続再雇用者について、当該特例が適用されるというものです。結論からいえば、定年継続再雇用者については、この5年ルールの適用除外になるというものです。

 注意しなければならないのは、この5年ルールの適用除外は、無条件で適用されるわけではなく、一定の手続きが必要になります。詳細は、以下のページにまとめられています。
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000075676.pdf

簡単にまとめると、その手続きは、以下のとおりです。申請には種々の条件もありますので確認しましょう。とにかく、申請をして、認定を受けないとならないのです。
 (1)計画の認定申請
   「第二種計画認定・変更申請書」を提出する。
 (2)都道府県労働局の審査・認定を受ける。
 
 なお、このケースは、例えば定年年齢が60歳で、最長で65歳まで(5年間)しか再雇用されないケース(すなわち、5年を超えることはない)であれば、5年ルールとは無関係ですので、もともと対応する必要はありません。