(1)マイナンバーは必要最小限だけ収集する
2016年からマイナンバー制度の運用が開始されたのは、「税関係」と「労働保険関係」です。税関係のうち「住民税」はまだ具体的な取扱いが不明なところもあるので、「源泉所属税」のみ、また「労働保険関係」のうち、「労災保険」は、年金関係の手続きが主であって、用途が限られるため、「雇用保険」に絞って考えてみたいと思います。
まず「源泉所得税」ですが、源泉徴収票について、本人に交付する分にはマイナンバーは不要となりました。一方、税務署に提出する分については記入が必要です。この、税務署に提出する分については、一般には、年中の給与等の支払金額が500万円を超える方のみですから、全員分ではありません。
一方、「雇用保険」はどうでしょうか。現段階でマイナンバーが必要なのは、資格の得喪、雇用継続給付(高年齢、育児、介護)の初回の手続きのみですから、必要な場面は相当限定されます。しかも、雇用保険関係は、扶養の関係はなく、本人のみです。
年中の給与の支払額が500万円を超えるかどうかという判断はなかなか難しいところですが、特に私が勤務する中小企業は年中の給与の支払額が500万円を超える方はほとんどなく、超える方もほぼ確定していることから、その方のみ収集するということも考えられます。場合によっては、年末調整の計算が終了してから収集しても構わないかと思います(扶養控除申告書には、マイナンバー記入欄があり、当欄は記入しなければならないですが、当申告書は外部に提出をするものではないので、ここでは対象外とします。)。
ところで、雇用保険関係については、ハローワーク等が本年中にマイナンバーの一斉収集・報告を求める可能性があります。そうなると、この対応をそのまま実施するということは難しくなる可能性があります。
(2)将来も含めて必要であろうマイナンバーを収集してしまう
(1)に記載されているように、今年度のマイナンバーは、税関係と労働保険関係のみですので、健康保険、厚生年金保険関係は予定ですと2017年以降ということになります。したがって、国民年金第3号被保険者たる配偶者の本人確認措置についても、来年以降に行うということになりますが、収集事務は何かと大変ですので、一度で済ませてしまおうとするならば、従業員本人と扶養配偶者の本人確認、その他扶養者も含めた番号収集を一度のタイミングで実施してしまうというのも一理あるかと思います。なお、健康保険、厚生年金保険関係についても、日本年金機構や健康保険組合がマイナンバーの一斉収集・報告を求めてくる可能性があります。