2013/01/28

高齢者雇用継続給付と老齢厚生年金との支給調整

 定年継続再雇用制度を活用する場合、多くの場合は高年齢雇用継続給付を活用すると思います。その場合、特別支給の老齢厚生年金の受給者については、年金の支給調整がかかる場合があります。簡単にまとめると以下の通りになります。
https://www.hellowork.go.jp/dbps_data/_material_/localhost/doc/kourei_kyufu.pdf

 ただし、特別支給の老齢厚生年金自体は、在職老齢年金の仕組み(年金の基本月額と総報酬月額相当額の合計額が28万円をこえる場合)によっても一定程度減額されますので、実際に受け取れる特別支給の老齢厚生年金の額はさらに少なくなる可能性があります。それを示したのが以下の図です。

2013/01/25

高年齢者雇用確保と年金支給開始年齢の関係

 2013年4月1日より、高年齢者雇用確保法が改正され、ある一定年齢まではこれまでのように労使協定によって再雇用の条件を定めることができなくなりました。その理由として、昭和28年4月2日以降に生まれた方(男子の場合)については、年金(厚生年金保険の特別支給の老齢厚生年金の報酬比例部分)が60歳の段階では出ないからです。それにあわせ、企業には高年齢者の雇用確保措置が求められていますが、生年月日による年金の支給開始年齢をまとめると以下のようになります。昭和36年4月2日以降に生まれる方については、特別支給の老齢厚生年金が全く出ませんので、各企業は65歳までの雇用確保措置が求められます。


2013/01/21

雇用調整助成金の支給条件が引き下げに(2013年4月より)

 特にリーマン・ショックの際に、多くの企業の雇用を守ってくれた雇用調整助成金ですが、2013年4月1日より支給要件が引き下げられます。以下ページにリーフレットが掲載されています。

http://www.mhlw.go.jp/general/seido/josei/kyufukin/dl/20130208-1.pdf

【変更点1】助成率の変更
  • 大企業  3分の2(現行は 4分の3)
  • 中小企業 5分の4(現行は10分の9)

【変更点2】教育訓練(事業所外訓練)を実施した場合の助成額の変更
  • 大企業  2,000円(現行4,000円)
  • 中小企業 3,000円(現行6,000円)
 ※ 事業所内訓練については変更ありません。
  • 大企業  1,000円
  • 中小企業 1,500円
 なお、どの訓練が事業所外・事業所内訓練の定義については、事前に各労働局等に問い合わせを行い、実施を予定している研修内容を、よく確認した方が良いでしょう。私自身も同じ研修内容でも、所管労働局によって扱いが異なるというケースが過去にありました。


2013/01/18

労働条件の明示事項に関する改正

 労働契約締結時の労働条件の絶対的明示事項として、「期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準に関する事項」が労働基準法施行規則第5条第1項に追加されています(有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準の一部を改正する件(平成24年厚生労働告示第551号))。
 平成25年4月1日以降に締結する有期労働契約に関しては、これまで以上に注意が必要になります。

http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/keiyaku/meiji/dl/h241026-2.pdf

【モデル労働条件通知書】
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/keiyaku/meiji/dl/h241026-2-betten.pdf

2013/01/14

「雇止め法理」の法制化について







 有期労働契約は、確かに、「期間の定めのある労働契約」すなわち、契約期間が満了すれば雇用は終了します。しかしながら、労働者の保護の観点から、これを簡単に認めていないのが過去の判例でした。これを、労働契約法という法律の中に組み込んだのが今回の改正点です。つまり、期間の定めがあるということと、雇い止めができるということとは、全く別問題なのです。この点は、簡単に考えがちなので注意しましょう。

http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/keiyaku/kaisei/dl/pamphlet06.pdf

2013/01/12

定年継続再雇用でも無期労働契約5年ルールは適用される


 2013年4月1日に施行される労働契約法においては、(同日以降契約した)有期契約の通算契約期間が5年を超える場合には、本人の希望があれば、次回以降の契約が無期雇用契約になるという定めがあります。
 一方で同日2013年4月1日、高年齢者雇用安定法も施行され、一定の移行期間を除き、原則として本人の希望があれば65歳まで雇用する義務が生じます。問題になるのは、この、「定年継続再雇用」の際に、労働契約法の通算契約期間のルールが適用されるのか、ということですが、結論は「適用される」ということになります(下図参照)。



 したがって、これに対応するには、主に2つの考えがあるでしょう。
(1)定年継続再雇用は、「65歳までとする」というルールを厳格に適用する(65歳を超えての雇用は行わない。)。
(2)いわゆる第2定年(例えば68歳とか70歳)を設ける。

 特別支給の老齢厚生年金は、今後(1953年4月2日生まれ以降)60歳になる方については、定額部分はもちろん、報酬比例部分に関しても、支給開始年齢が徐々に遅れていきます。今後はできるだけ長く雇用されたいという方も多くなってくるでしょうから、この点の対処はますます求められることになります。

2013/01/08

労働関係者必携 菅野和夫『労働法』第10版が12月に発売

 菅野和夫氏の『労働法』は、私も第4版から使っている労働法のスタンダードともいえる書籍です。2012年12月に、最新の法動向を加えた第10版が発売され、さっそく私も購入しています。
 こころのところ、労働契約法、労働者派遣法、高年齢者雇用安定法等が法改正になり、法改正対応しています。また、最新判例の状況にもに対応しています。
 人事企画、制度企画等を行う仕事をしている場合には外すことのできない必携の書といえそうです。
 私はこの書籍を検索可能なPDFに変換して便利に使っています。→菅野和夫『労働法』の電子書籍化
 

菅野 和夫
4335304536

弘文堂 2012-12-03








第1編 総 論
 1章 労働法の意義と沿革
 2章 憲法上の基本規定
第2編 労働市場の法
 1章 総 説
 2章 各 説
第3編 個別的労働関係法
 1章 個別的労働関係法総説
  1節 労働契約の意義と特色
  2節 個別的労働関係法の構造・適用範囲・効力
  3節 就業規則の意義と効力
 2章 労働関係の成立に関する法規整
  1節 採用の自由
  2節 労働条件の明示
  3節 採用内定
 3章 労働関係の展開に関する法規整
  1節 基本的法規制
  2節 過渡的労働関係―試用
  3節 非正規労働者
  4節 賃  金
  5節 労働時間・休暇
  6節 安全衛生
  7節 女性・年少者の保護
  8節 高齢・少子社会の就業支援
  9節 労働災害の補償
  10節 企業秩序と懲戒
  11節 人  事
 4章 労働関係の終了に関する法規整
  1節 解雇以外の終了事由
  2節 解  雇
第4編 団体的労使関係法
 1章 労働組合の結成と運営
  1節 序  説
  2節 労働組合の概念と要件
  3節 労働組合の組織と運営
  4節 労働組合の組織の変動
 2章 団体交渉
  1節 総  説
  2節 団体交渉の主体・対象事項・手続
  3節 団体交渉拒否の救済
 3章 労働協約
  1節 総  説
  2節 労働協約の成立要件
  3節 労働協約の効力
  4節 労働協約の効力拡張(一般的拘束力)
  5節 労働協約の終了
 4章 団体行動
  1節 団体行動の法的保護の内容
  2節 団体行動の正当性
  3節 正当性のない争議行為と法的責任
  4節 争議行為と賃金
  5節 使用者の争議対抗行為
 5章 不当労働行為の禁止
  1節 不当労働行為救済制度
  2節 不当労働行為の成立要件
  3節 不当労働行為の私法上の救済(司法救済)
第5編 労使紛争の解決手続
 1章 総  論
  1節 労使紛争とその解決制度・序説
  2節 戦後の労使紛争とその解決制度の変遷
 2章 行政による労働関係紛争解決手続
  1節 都道府県労働局における個別労働紛争の処理サービス
  2節 労働委員会による労働関係紛争の解決手続
 3章 裁判所による労働関係紛争の解決手続
  1節 労働審判手続
  2節 民事通常訴訟
  3節 保全訴訟
  4節 少額訴訟
  5節 民事調停
〔事項・判例等索引〕

2013/01/04

Webで簡単に、疲労度・ストレスをチェックできます!

 中央労働災害防止協会(中災防)のWeb上に、Webで簡単にチェックできる、「労働者の疲労蓄積度チェックリスト」、「職業性ストレス簡易評価ページ」等々があります。
 「自分は大丈夫だろう。」と思っても、疲れやストレスはたまっているものです。時々自己チェックしてみる、または家族の協力によってチェックしてもらうことも時には必要でしょう。

http://www.jisha.or.jp/web_chk/index.html