2015/06/05

年金事務所による調査で意識すべき点

 時々、年金事務所等から社会保険関係の適用関係の調査が入ることがあります。資格取得や標準報酬の算定対象額給与の計算方法、定時決定および随時改定、賞与時の届出等がきちんとされているかの調査です。
 2005年くらいまでは盛んに行われていたのですが、その後、年金関係の不祥事や大震災等もあって従前よりも調査頻度が下がっていたようですが、2016年10月からは、現行は週の所定労働時間が30時間以上である加入要件が、企業の規模要件はあるものの、週の所定労働時間が20時間以上、年収106万円相当以上等となることから、これまで加入の必要がなかったパート者などについて、適用の範囲が広がることになります。
調査の観点はいろいろあるとは思いますが、特に以下の点には注意しましょう。

・社会保険の適用対象者が適切かどうか。特に本来加入しなければならないのに加入せず、該当者が国民年金の第1号被保険者、国民健康保険の資格を取得している。
・就業規則や給与規程、その他給与を規定する規程等に不備があり、運用が正しく行われていない。結果として正しい標準報酬が適用されていない。
・標準報酬の算定方法(対象となる給与の範囲)が間違っている。対象とすべき賃金が対象となっていなかったり、逆に対象とする必要がない賃金を対象としてしまっている。
・固定的賃金と変動的賃金の区分けができていないことで、随時改定が適切に行われていない。
・定時決定、随時改定の対象となる賃金(固定的賃金)や、算定のタイミングが間違っている。
・随時改定が全く行われていない(特に中小・零細企業で散見されているようです。)。
・資格取得・喪失手続きが適正に行われていない(例えば、入社後一定期間を試用期間としている場合、試用期間後に資格取得としている。本来は試用期間開始時に資格取得させなければならない。)。
・社員が定年後の再雇用となる場合、給与が下がるケースが多いため、従前の(通常は高い)標準報酬月額を適用させないため、一旦資格を喪失させた上で、新たに資格を取得するという手続きを行うという特例が認められているが、当該手続きがなされていない。



2015/06/01

受動喫煙防止対策がだんだん厳しくなっている

 2015年6月の労働安全衛生法の改正により、職場の「受動喫煙防止対策」が事業者の努力義務となっています。努力義務とはいえ、喫煙者に対する目は以前と比べると非常に厳しくなっているため、喫煙者・非喫煙者双方を交えて十分に議論した上で対応する必要があると言えるでしょう。ガイドには、ハード・ソフト両面における対策が求められています。どれが適切なのかという正解はありませんが、各企業の文化・実態も含めて慎重に検討していく必要があるのでしょう。
 ただ、全体としては喫煙者に対する環境はどんどん厳しくなっているのは確かではあると感じます。



2015/05/29

自宅でのトラブル対応は労働時間とすべきか

 帰宅後、あるいは休日に、自宅に会社からトラブルで電話がかかったきた場合の対応した場合の労働時間をどうするか。結論から言えば「労働時間とすべき」なのでしょう。

 それは、以下の理由からです。
 ・明らかに「労働」したものであるから
 ・上長の指揮命令下にないとはいえないから(勝手にやった、と言えますか?)

 少し分かりにくいのですが、当該トラブル対応が、仮に「上長が見える状態での指揮命令下にあったと認定することができるとすると、労働時間と認めるかと思います。たまたま上長が「見えない状況であっただけをもって、「労働時間として認めないというのは違和感があります。

 では、どのように捕捉するかといえば、なかなか難しいところですが、本人の報告書などによるレポート申告が基本かとも思います。さらに、携帯電話の履歴、リモートのパソコンの履歴があればエビデンスとして添付させるとか。

 一方で、究極的には、会社としては、自宅でのトラブル対応をしなければならない状態にしないことが大切なのでしょう。頻繁に生じるようであれば、きちんと取扱いを整理し、必要であれば手当の支給等も検討しておく必要があろうかと思います。

2015/05/20

ストレスチェック制度が定められた背景

 2015年12月1日より、労働安全衛生法が改正になり、企業は従業員に対して、1年に1回、「ストレスチェック」を実施する必要があります。

 この背景を見ると、下のグラフにあるように、精神障害に係る労災請求・決定件数が徐々に増えており、平成26年度の申請件数は過去最高の1456件にのぼっています。このような状況を放っておくわけにもいかず、今回のような制度がスタートしたのでしょう。

 しかし、通常の負傷等とは異なり、外から見ただけではなかなか分かりにくいのは事実。まずは、ストレスチェックの結果は原則として会社には告知されないスタイルでのスタートとなります。あくまで、従業員の「気づき」を大切にしているわけですね。

2015/05/08

定年後、5年を超えて再雇用する可能性がある場合にはきちんと手続きを

 2013年4月に施行された「改正労働契約法」では、「無期雇用転換ルール」が導入されました。すなわち、ある労働者が、同一の使用者間で有期労働契約が通算5年を超えて反復更新された場合、労働者本人が申し出ることによって、有期労働契約が終了する翌日
から自動的に無期契約へと転換される制度(5年ルール)のことです。この有期契約労働の通算の始期は、改正同法の施行日である2013年4月1日以降に締結・更新される有期労働契約からとされているため、実務上、実際に有期契約労働者から無期転換への請求が生じる可能性があるのは、2018年4 月1 日以降となります。

 一方で、この「無期雇用転換ルール」の特例として、2015年4月に「有期雇用特別措置法」が施行されています。これについて、定年後引き続いて雇用される定年継続再雇用者について、当該特例が適用されるというものです。結論からいえば、定年継続再雇用者については、この5年ルールの適用除外になるというものです。

 注意しなければならないのは、この5年ルールの適用除外は、無条件で適用されるわけではなく、一定の手続きが必要になります。詳細は、以下のページにまとめられています。
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000075676.pdf

簡単にまとめると、その手続きは、以下のとおりです。申請には種々の条件もありますので確認しましょう。とにかく、申請をして、認定を受けないとならないのです。
 (1)計画の認定申請
   「第二種計画認定・変更申請書」を提出する。
 (2)都道府県労働局の審査・認定を受ける。
 
 なお、このケースは、例えば定年年齢が60歳で、最長で65歳まで(5年間)しか再雇用されないケース(すなわち、5年を超えることはない)であれば、5年ルールとは無関係ですので、もともと対応する必要はありません。