しかし、最近の裁判例を見ると、特に公務員等の事案で、そこまでの厳罰ではないこともあるようです。懲戒免職でも退職金の支給は認める等々。
【事案1】酒気帯び運転を理由に熊本県阿蘇市職員を懲戒免職となった40代の男性が、免職処分 取り消しを求めた訴訟の判決
「運転した距離は1キロに満たず、重すぎる」として処分を取り消した。 判決で裁判長は「飲酒運転の動機や経緯に酌むべき事情はないが、市民や社会に直接被害はなかった。処分は事情を適切に考慮せずになされた。免職は裁量権を逸脱し、 違法」と判断した。
【事案2】酒気帯び運転を理由に熊本市職員を懲戒免職となった男性(2012年に死亡)の遺族 が「免職は重すぎる」として取り消しや退職金を求めた訴訟(控訴審)
免職を違法として取り消した一審判決を変更、「免職は適法」と判断した。 遺族側は「事故を起こしたわけではなく、被害は出ていない」と主張したが、裁判長は判決で「運転せざるを得ない状況ではなかった。」とした。
これは、以下のことが僅かながらも影響しているのではないか、とも思います。
・当該非行が、 従業員が従事する業務の内容や企業の事業内容に強く関連するかどうか、あるいは、業務上における非行かどうか。
・退職金を減額することにまで及ぶ非行かどうか。
・他の懲戒にすべき案件と比べたときに、酒気帯び運転の事案を懲戒免職にすることがバランス的に問題ないのか(一般的に考えると、酒気帯び運転よりも破廉恥な事案はあるのではないか。その事案で果たして懲戒免職になるのか。)。
飲酒運転関連の事案の取扱はかなりやっかいですね。